Edubuntu(14.04) – 教育・学習用デスクトップOSの決定版! インストールから環境設定までまとめ
公式サイト:Edubuntu(英語)
Wikipedia:Edubuntu – Wikipedia
参考:Homepage | Ubuntu Japanese Team
以前の記事で紹介した「子供向け・教育用OS」の一つです。
参考:子ども向け・教育用デスクトップOSまとめ(ただしLinuxに限る)
OSの詳細は公式サイトやWikiをご覧下さい。簡単に説明するとUbuntuの派生ディストリビューションで学校などの教育現場や家庭学習用にカスタマイズされたOSです。教育者用のシンクライアント機能や、子ども用に多数の教育・学習用アプリが収録されています。
今回のバージョン14.04はLTS(長期サポート)版で5年間(2019年4月まで)のサポートとなっています。
今回はインストール手順と日本語環境構、その他見た目や使い勝手などのカスタマイズをまとめてみました。収録アプリについては数が多すぎるので別記事にします。
インストール手順
OSイメージの入手とLiveCD(LiveUSB)の作成
ほぼ本家Ubuntuの手順と同様です。当ブログ含め参考記事は以下。
◆UbuntuTips/Install/InstallUbuntu – Ubuntu Japanese Wiki
◆Ubuntu – 今さら12.04(Precise Pangolin)のインストール・初期設定・環境構築まとめ | mogi2fruitsどっとねっと
◆インストール完全ガイド – Ubuntu 12.10 Desktop 日本語 Remix:ITpro
ダウンロード:Get Edubuntu | Edubuntu
公式サイトからイメージファイルをダウンロードします。現時点で最新版は14.04です。ファイル名は64bit版なら「edubuntu-14.04-dvd-amd64.iso」、32bit版なら「edubuntu-14.04-dvd-i386.iso」となります。インストール先のPC環境に合わせて選択します。
※この記事中では解説用に32bit版をVirtualBoxにインストールしています。
LiveCD(LiveUSB)からインストール
上記参考サイトを参考にLiveCD(LiveUSB)を作成。このCDまたはUSBメモリからPCを起動します。PCによって異なりますが、BIOS/UEFIの初期画面が表示されているうちに[F2]や[F8][F10][F12]などのファンクション・キーを押していると、ブート・デバイスを選択できます。起動すると次の画面になります。
↑↓←→ で「日本語」を選択し「Enter」で次の画面。
一番上の「インストールせずに~」を選択するとライブ起動するので、PCとの相性をチェックできます。ここからインストールもできます。ライブ起動しないでインストール作業に入るなら2番目の「Edubuntuをインストール」です。今回はこちらを選択します。
Ubuntu のインストールではお馴染みの「ようこそ」画面。「日本語」を選択します。
「インストール準備」です。インストール先の空き容量とインターネット接続を確認します。インストールを早く済ませたいなら「アップデート」はチェックしない方が良いですが、「サードパーティの~」はチェックするのをオススメします。FlashやMP3の再生などが可能になります。
本家Ubuntuには無い「Edubuntu インストールオプション」です。「Gnome代替インターフェース」はチェックすることをオススメします。デフォルトのデスクトップ環境はUnityですが、PCのスペックが低いと重く感じますし、Windowsの操作感とは全く異なるからです。インストールしておけばログイン時にUnityかGNOMEかは選択できます。
二番目の「LTSP(Linux Terminal Server Project)」はシンクライアントの導入をするかどうかです。個人で使用する分には必要ありません。
「Edubuntu インストールオプション」のパート2です。ここでは子ども(生徒)の年齢に合わせた教育用アプリを選択できます。「ubuntu-edu-preschool」は就学前・園児用、「ubuntu-edu-primary」は6~12歳向け・小学校レベル、「ubuntu-edu-secondary」は13~18歳向け・中学高校レベル、「ubuntu-edu-tertiary」は大学レベルのアプリとなります。いずれにせよ元は英語のアプリで日本語化されているもの、されていないものがあります。
※一番上の「edubuntu-desktop」は未検証です。アイコンや壁紙関係かと・・・
「インストールの種類」です。ここからは本家Ubuntuのインストール手順と同様です(※今回はVirtualBoxにインストールしているのでWindowsPCの場合とは画面が異なります)。一番上の「ディスクを削除して~」だとWindowsなど既存OSも削除し、ハードディスクを全て使ってインストールします。既存OSとデュアルブートやマルチブートをしたい場合は「それ以外」を選択します。マルチブートの構築についてはこちらを参考にして下さい。
参考:Linuxで遊ぼう♪【マルチブート環境構築】 – 例)USBメモリからPuppyとLubuntuをデュアルブートする方法
参考:Windows と Ubuntu のデュアルブート PC にするための手順 « Joichi のブログ / ジョウイチのブログ / Joichi-Blog / Joichi's Blog
参考:Windows 7とUbuntuが仲良く共存できるデュアルブート環境の作り方 : ライフハッカー[日本版]
Windowsがインストールされていれば自動で認識してくれますので、指示に従っていけば削除されません(※Macは不明)。今回は「ディスクを削除して~」を選択しました。
一番上の「ドライブの選択」から内蔵HDD以外にもUSBメモリや外付けHDDを選択できますので、ポータブルOSも作れます。外出先やデータレスキューとしても活躍するかもしれません。その場合は画面下にある「拡張パーティショニングツール」からブートローダーもUSBメモリにインストールしましょう。「/」(ルート)フラグも付けておきます。詳細は割愛します。
以下は本家Ubuntuと同様なので画面だけ並べます。
インストール中にEdubuntuの紹介が流れます。今回は書きませんがアプリの紹介もありますので、ざっと概要を知りたい方はご覧下さい。
インストール終了後、ライブ起動している場合は「試用を続ける」か「再起動」の選択になります。「再起動」を選択した場合はシャットダウンの途中でライブ起動用CDまたはUSBメモリを抜いて下さい。起動するとインストールされたEdubuntuが起動します。
ログインセッション(デスクトップ環境)の選択・メモリ使用量比較
インストール時に自動ログインにチェックを入れていなければ、ログイン前にデスクトップ環境を選べます。ユーザー名の右にある「◯」をクリックすると選択できます。インストール時に「Gnome代替インターフェース」にチェックを入れていれば「GNOME Flashback(Compiz)」と「GNOME Flashback(Metacity)」が選択できます。下の「Ubuntu」がUnityとなります(自動ログインの場合はこちらが起動)。軽い順に Metacity < Compiz < Unity となるでしょうか。起動直後のメモリ使用量を比較すると、Metacity:300~350MiB、Compiz:450MiB前後、Unity:500~550MiB (単位はメビバイト)でした。
自動ログインしてしまってもログアウトすればこの画面に戻れます。
アップデートの確認
起動したらまずアップデートを確認しましょう。あれば通知が来るはずです。もしくは「アプリケーション → システムツール → システム管理 → ソフトウェアの更新」です。
上の画面はGNOMEですが、Unityの場合はこちらを参考にして下さい。
◆UbuntuTips/Desktop/HowToUseUnity – Ubuntu Japanese Wiki
◆Ubuntu 14.04(Trusty Tahr) – 初期設定・インストールしたアプリ他、12.04 との違いなどまとめ | mogi2fruitsどっとねっと
アプリを検索するか、一覧から「ソフトウェアの更新」を起動しましょう。
日本語環境
デフォルトでもほぼ日本語化はされていますが、「言語サポート」から日本語フォントのインストールや標準で使用するIMEの選択ができます(※デフォルトではiBusのみ、漢字変換にはAnthy)。画面右上にある「歯車アイコン → システム設定 → 言語サポート」で起動します。
Ubuntu Japanese Team のレポジトリを追加・Mozc(Google日本語入力)のインストール
参考:Ubuntuの日本語環境 | Ubuntu Japanese Team
参考:Ubuntu 13.10 その7 – 日本語環境の構築・Ubuntu Japanese Teamのリポジトリーを追加する – Ubuntu kledgeb
参考:Ubuntu Japanese Team
この作業の理由をUbuntu Japanese Team の公式サイトから引用します。
他の言語環境に悪い影響を与えてしまう変更が必要であるなどの理由で、現段階ではオリジナルのUbuntuに含めることが難しい修正が必要な場合もあります。 そこでJapanese Teamでは、現在のところUbuntuに追加できていない修正を加えたパッケージ、および日本語環境に必要とされるパッケージを収録したRemixイメージと仮想ハードディスクイメージを作成・配布しています。
「端末(Terminal)」から以下のコマンドを一つずつ実行します。
wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja-archive-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add - wget -q https://www.ubuntulinux.jp/ubuntu-jp-ppa-keyring.gpg -O- | sudo apt-key add - sudo wget https://www.ubuntulinux.jp/sources.list.d/trusty.list -O /etc/apt/sources.list.d/ubuntu-ja.list sudo apt-get update sudo apt-get upgrade
この時点で ibus-mozc や Firefox の日本語パッケージなどがインストールされます。
「日本語 Remix DVD」に追加されているパッケージと同じものをインストールする場合は以下のコマンドを実行します。
sudo apt-get install ubuntu-defaults-ja
これで「Fcitx」インプットメソッドフレームワーク、及び fcitx-mozc がインストールされます。
個別で Mozc をインストールしたい場合は以下のコマンドでインストールできます。
sudo apt-get install ibus-mozc sudo apt-get install fctix-mozc
「設定」の中に iBus や Fcitx の設定アプリがあるのでそちらで設定、再ログインすれば反映されます(もしくはIMEの再起動)。Mozcの設定もこの中に含まれます。
その他利便性向上アプリのインストール
こちらの記事でも書いていますが、Synapticパッケージマネージャ(Ubuntuソフトウェアセンター より軽くて使いやすい)・GDebiパッケージインストーラー(debファイルから直接インストールできる)・ClipIt(コピペ支援)や、必要であればxfce4-screenshooter(スクリーンショット)・Chromiumブラウザ(Chromeブラウザのオープンソース版)・ubuntu-restricted-extras(MP3などのマルチメディアコーデック、MicrosoftのWeb用フォントやrarアーカイバー等をまとめてインストールできる)などもあれば便利です。コマンドでのインストールは以下の通りです。
sudo apt-get install synaptic sudo apt-get install gdebi sudo apt-get install clipit sudo apt-get install xfce4-screenshooter sudo apt-get install chromium-browser sudo apt-get install ubuntu-restricted-extras
テーマ・背景・アイコンの変更
色々方法はありますが「Tweak Tool(gnome-tweak-tool)」を使うとまとめて変更できます。
「アプリケーション → システムツール → 設定 → Tweak Tool」から起動します。
ここでは様々な設定ができますが、背景を変更するなら「デスクトップ → 背景の場所」から画像を選択。見た目を変更するなら「外観」から各項目を変更します。可愛くするならアイコンは「GartoonRedux」をオススメします。変更するとこんな感じになります。
小学生くらいが対象ならなかなか似合うのではないでしょうか。
OSの軽量化・デスクトップ環境のインストールと変更
子ども用にPCを使うことを考えると、大人の “お下がりPC” を子どもに与えることも考えられます。おそらくそのPCはスペックが低いでしょう。上述したGnome環境でも重く感じるかもしれません。その場合、さらに軽量なデスクトップ環境を導入することで低スペックPCでも操作感の向上が期待できます。その中でも代表的なものとしては LXDE が挙げられます。「Ubuntuソフトウェアセンター」か上でインストールした「Synapticパッケージマネージャ」から検索・インストールできます。
関連するパッケージも自動でインストールされます。インストール後に一旦ログアウトします。
セッション(デスクトップ環境)選択画面で LXDE を選択し、ログインします。多少カスタマイズしていますがこんな感じになります。
LXDE の場合見た目(テーマ)の変更は「メニュー → 設定 → ルックアンドフィールを設定します」から行います。Gnomeとはまた設定の仕方が異なります。
LXDE 以外にも軽量デスクトップ環境としては Fluxbox や IceWM などがあります。いずれも「Ubuntuソフトウェアセンター」もしくは「Synapticパッケージマネージャ」からインストールできます。
起動直後のメモリ使用量は LXDE:250MiB前後、Fluxbox:200MiB強、iceWM:190MiB前後 となりました。Fluxbox や iceWM ならWinXP機でも使えそうです。ここでは割愛しますが、デスクトップ環境が変わると設定の仕方や操作感もかなり変わってきますので調べてみると良いでしょう。
あとがき
次回はプリインストールされている知育・教育用アプリを紹介したいと思います。今回は長くなるので辞めました(十分長いですが)。
アプリを色々試してはいるのですが、いかんせん日本語に対応しているアプリが少ないのと、難しそうなものが多いので、果たして使ってくれるかどうか不安。結局ブラウザでYouTubu見るだけにならなければいいけど・・・
最近では教育用のWEBアプリ・サービスも豊富なのでそちらも活かせればと思います。(←じゃEdubuntuの意味無いじゃん)
まぁ、こうやってカスタマイズしている事自体が楽しいんですけどね。