Windows10 にアップグレードする前にやっておきたい事 – バックアップ・復旧・レスキューツールの作成方法などまとめ
【2015年9月14日追記】
この記事はWindows10のアップグレードが始まる前に書いています。筆者手持ちの複数のPCを実際にアップグレード(またはクリーンインストール)した記事を既に書いていますので、よろしければ参考にして下さい ↓
以下の記事は(一部を除き)当時のままになっております。ご参考までにm(__)m
米MicrosoftはWindows7/8/8.1を対象に、Windows10への無償アップグレードの提供を発表しました。
※期間はリリース後1年間
※WindowsRTは対象外
参考:Windows 10: A New Generation of Windows — REDMOND, Wash., Jan. 21, 2015 /PRNewswire/ —
参考:「Windows 10」は無料アップグレードで提供、今後はバージョンが“無意味化” -INTERNET Watch
参考:ニュース – 「Windows 10」へのアップグレードは1年間無償、Windows 7以降から:ITpro
何事もなく無事にアップグレードできればよいのですが、ここでいくつか心配事があります。
・データは無事に引継がれるのか?
・アプリケーションやドライバの互換性はどうなのか?
・インストール中に不具合が生じて起動できなくなったらどうしよう?
・やっぱり以前のWindowsに戻したい
……etc
やはり備えあれば憂いなし、ということでバックアップと復旧方法、もしもの時の復旧ツールの作成方法やこのような情報のリンクなどをまとめておきたいと思います。参考になれば幸いですm(_ _)m
なお、以下の参考リンクでは「121ware.com」を多く取り上げていますが、特にNECを贔屓しているわけではなく、単純に解説が分かりやすかったためです。
ユーザーデータのバックアップと復旧
「マイ ドキュメント」とか「マイ ピクチャ」などのメディアファイルや使用しているアプリケーションの保存データなどですね。
参考:Windows 7 から Windows 8.1 にアップグレードする – Windows ヘルプ
Windows7 から 8 へのアップグレード方法を参考にすれば、何事もなく引継がれるように思われますが、ここではそうならなかった場合を想定します。
方法1:外部メディアにコピーする
個人的にはコレが一番カンタンかと思います。場所は以下の通り(「マイ ドキュメント」の場合)。
C:\Users\ユーザー名\Documents
アプリケーションデータは「AppData」になります。隠しファイルなのでエクスプローラーの設定で見えるようにしておきましょう。ただし Windows10 でそのまま使えるかどうかは分かりませんが。
ユーザーフォルダ以下を丸ごと外付けハードディスクやUSBメモリなどにコピーするだけです。アップグレード後、該当のフォルダに再度コピーしましょう。
この方法だとユーザーアカウントの細かい設定まではコピーできませんが、逆にシンプルで分かりやすいです。復旧時にアカウントが重複したり、同じアカウントとして使えなかったり、というトラブルは避けられます。
方法2:Windows標準機能:Windows 転送ツール(Windows10では使用不可)
公式:Windows 転送ツール – Microsoft Windows
標準でインストールされているバックアップツールです。使い方は以下が参考になります。
参考:Windows 7でWindows転送ツールを使用して古いパソコンから新しいパソコンへデータを移行する方法 – 121ware.com
参考:Windows 8でWindows転送ツールを使用して古いパソコンから新しいパソコンへデータを移行する方法 -121ware.com
参考:Windows 8.1でWindows転送ツールを使用して古いパソコンから新しいパソコンへデータを移行する方法 – 121ware.com
この方法ならアカウントデータやメールなども復旧できますね。
【2015年8月13日追記】
Windows10ではこの機能がありません。USBメモリや外付けHDD、あるいは別パーティション(Dドライブとか)などにバックアップしておきましょう。
Internet Explorer のお気に入り(ブックマーク)のバックアップ
参考:Internet Explorer 9でお気に入りをバックアップする方法 – 121ware.com
参考:Internet Explorer 9でバックアップしたお気に入りを復元する方法 – 121ware.com
ここではIEのバージョンが9の場合ですが、9以降もそれほど変わりません。
あるいはChrome、Firefox、OperaなどのブラウザはIEのブックマークを取り込むことができます。さらに同じブラウザなら異なるデバイス間でブックマークを同期できるので、その設定さえしてしまえばバックアップを意識する必要もありません。
Windows標準機能:システムの復元 で復元ポイントの作成・復元方法
公式:システムの復元とは – Windows ヘルプ
参考:Windows 7で復元ポイントを手動で作成する方法 – 121ware.com
参考:Windows 7でシステムを復元する方法 – 121ware.com
参考:Windows 8 / 8.1で復元ポイントを手動で作成する方法 – 121ware.com
参考:Windows 8 / 8.1でシステムを復元する方法 – 121ware.com
例えばWindows7で作成した復元ポイントをアップグレードしたWindows10で復元するとどうなるのか?そもそもできるのか?
未検証なので分かりませんが、多分復元できないか、ユーザーデータだけ復元されるか、Windows7として復元されるかと予想されます。古い情報(Windows.old)が保存されていた場合です。
参考:windows old フォルダの意味または、必要性は? – マイクロソフト コミュニティ
参考:Windows.old フォルダーからファイルを取得する – Windows ヘルプ
「復元ポイント」として保存しているデータがどこにあるか、またそのアクセス方法は以下が参考になります。
参考:System Volume Information フォルダーへアクセスする方法
参考:Windows7の復元ポイントの保存場所:浜村拓夫の世界
参考:システムの復元を無効にしてても、復元ファイル(ゴミ)が貯まったままになってる場合が
アップグレード後にWindowsを7/8/8.1に戻す場合、方法としては、
・ダウングレードする(できれば)
・PCを「工場出荷時」に戻してからシステムを復元
などが考えられます。Windows8/8.1 のダウングレードについては以下が参考になります。
参考:Windows 8 からダウングレードする方法
参考:ダウングレード権について
参考:ASCII.jp:今からWindows 7を使うには? Windows 8.1ダウングレード権の10の疑問 (1/3)
無償でアップグレードできるのだから、無償でダウングレードもできそうですが・・・
「工場出荷時に戻す」については後述しますが、戻した後に外部メディアへ退避させた「復元ポイント」で「システムの復元」を行えば、アップグレード直前の状態に戻せそうです。
Windowsが起動しない状態から「システムの復元」を行う方法
参考:Windows 7でOSが起動しない状態から「システムの復元」を行う方法 – 121ware.com
参考:Windows 8 / 8.1でOSが起動しない状態から「システムの復元」を行う方法 – 121ware.com
上記はあくまで参考です。メーカーによってやり方は異なります。後述するWindowsPE(Windows プレインストール環境 – Wikipedia)をCD/DVDやUSBメモリなどから起動することで、メーカーを問わず「システムの復元」ができます。
PCを工場出荷時に戻す方法(初期化)
パソコンの初期化は大きく分けて、3種類の方法があります。
・パソコンに添付されているリカバリーCDから行う
・パソコンのHDDに内蔵されているリカバリー領域から行う(D to Dリカバリー)
・自作パソコンでは、WindowsインストールCDを使用する
ということですが、基本的にはまずPCの説明書を読むことです。紛失した場合は「メーカー名 型番 説明書」などで検索すればpdfファイルが見つかると思います。
リカバリーディスク(CD/DVD) を紛失した場合はメーカーに問い合わせましょう。
また、予めリカバリーディスクを作ることもできます。こちらもメーカーによって作成方法が異なるので説明書を確認しましょう。
リカバリーディスクから復元する場合、PC起動時にCD/DVDから起動して、指示にしたがって「システムの修復」を行います。大抵の場合ディスクが入った状態で起動すれば、CD/DVDから起動するようになっていると思います。起動できない場合は、起動してすぐメーカーのロゴが出ている時に、[F2]や[F10]や[F12]などを押し続けましょう(画面下部に指示が表示されている場合もあります)。するとBIOS(Basic Input/Output System – Wikipedia)設定の画面になるので、ここから起動順序を変更することができます。
参考:CD/DVDから起動する方法 | パソコントラブル 原因&解決
Windows インストール メディア作成ツール:Windows8.1 用インストールメディアの作成
公式:Windows 8.1 用のインストール メディアを作成する – Windows ヘルプ
Windows8.1(Pro)限定ではありますが、インストールメディアを作成するツールがMicrosoftから提供されています。Windows7でも起動はできます。
このメディア(CD/DVD・USBメモリ)からインストールする場合、当然ながらWindows8・8.1のプロダクトキーが必要になります。PC購入時に記載された書類が付属されているはずなので用意しておくか、後述の「プロダクトキーを調べるツール」で確認しておきましょう。
レスキューツールの作成
今回のアップグレードの話に限らず、Windowsの調子が悪くなってしまうことはあります。電源を入れても起動できない場合を想定し、システムの復旧やデータ救出に役立つツールを予め作っておきましょう。
前述したリカバリメディアもレスキューツールの一つですが、それ以外にも単機能に絞ったものもあれば、多機能なものもあります。
ここではCD/DVDメディアとして作成していますが、ツールによっては初めからUSBメモリで起動できるように作ることもできます。USBメモリで作成する機能がなくても、CD/DVD用のイメージファイル(ISOイメージ – Wikipedia)を作るか、作成したCD/DVDから、Alcohol 52%などのCD/DVDイメージ作成・ディスクドライブ仮想化ソフトを使ってISOファイルを抽出し、それをUSBメモリに書き込めばUSBメモリから起動できるレスキューツールが作成できます。
補足:ISOイメージをUSBメモリに書き込むソフト
・Windows USB/DVD Download Tool – Microsoft Store
・UNetbootin – Homepage and Downloads
・Universal USB Installer – Easy as 1 2 3 | USB Pen Drive Linux
・Rufus – 起動可能なUSBドライブを簡単に作ろう
・USBWriter – Browse Files at SourceForge.net
使い勝手のいいものを使えば良いと思います。個人的には Unetbootin を良く使っています。
参考:UNetbootin – LinuxのライブCDイメージをUSBメモリから起動する方法 | mogi2fruitsどっとねっと
補足:Windowsやアプリケーションのプロダクトキーを調べるツール
・ProduKey:ProduKey – Recover lost product key (CD-Key) of Windows/MS-Office/SQL Server(公式サイト)
・KeyFinder:KeyFinder | Magical Jelly Bean(公式サイト)
復旧ツールとは違いますが、Windows他、ソフトのプロダクトキーを調べるツールです。
再インストールする時にこのプロダクトキーが分からないと、せっかく買ったソフトもインストールすることができません。このツールで確認しておきましょう。
補足:ライブ起動するLinuxからデータを救出する
このブログでも様々なLinuxを取り上げています。
使い勝手は今やWindowsとそんなに変わりません。CD/DVDやUSBメモリからライブ起動(PCにインストールせずに外部メディアから起動)してファイラーで操作すれば、容易にデータを救出することができます。
システム修復ディスク:緊急起動用メディア
参考:Windows TIPS:Windows 7のシステム修復ディスクを作成する – @IT
参考:Windows TIPS:Windows 8のシステム修復ディスクを作成する – @IT
上の画像はWindows7で作成したものになります。
Windowsが起動できない時にそれを修復するツールになります。使える機能は以下の通りです。
・スタートアップ修復
・システムの復元
・システムイメージの回復
・Windowsメモリ診断
・コマンド プロンプト
「システムの復元」は使えますが、個々のデータを救出する機能はありません。
※コマンドプロンプトからならできそうですが・・・(未検証)
WindowsPE:復旧作業用軽量Windows
参考:Windows 8 用 WinPE: Windows PE 5.0
参考:Windows プレインストール環境 – Wikipedia
参考:Windows PEとは 【 Windows Preinstallation Environment 】 – 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典
上で紹介した「システム修復ディスク」機能も含んだ復旧作業用Windowsです。これを作成するには以下の記事が参考になります。
参考:運用:管理者必携のトラブルシューティングツール「Windows PE 5.0」の起動用USBメモリを作成する (1/2) – @IT
参考:汎用性の高いWindows PE 5.0 (x64)メディアの作り方 – idinorの日記
手順としては、
1.Windows ADK をインストール
2.「展開およびイメージングツール環境」を起動し、環境構築、カスタマイズ
3.ブート用メディアの作成
となるのですが、敷居が高いように思われます。
※僕は途中で挫折しました・・・ 上の画像はツールを使って以前に作成したものです(WindowsPE 3.0)
なので今回はもっとカンタンに、WindowsPE作成ツールである「AOMEI PE Builder」を使います。
AOMEI PE Builder:WindowsPE作成ツール
公式:AOMEI PE Builder
参考:“Windows PE”のシステムツール付きブータブルメディアを作成「AOMEI PE Builder」 – 窓の杜
参考:Vector 新着ソフトレビュー 「AOMEI PE Builder」 – より実用的なWindows PE環境のブータブルメディアを手軽に作成できるソフト
サイトからダウンロード、インストールします。ファイル名は「PEBuilder.exe」です。現時点で最新版は1.4です。
WindowsPEの作成途中でソフトの選択ができます。またリストにないソフトを組み込みこむこともできますが、PCにインストールして使うようなソフトの大抵は使えません。試しに「Google Chrome Portable」を入れてみましたが起動しませんでした。
起動メディアを選択できます。CD/DVDやUSBメモリ、またはISOイメージファイルを選択できます。
デスクトップ画面です。ぱっと見普通のWindowsと変わりません。
デスクトップのショートカットからAOMEI製のパーティション設定ツールやバックアップツール、簡易WEBブラウザの「QtWeb」などが起動できます。
※「QtWeb」ではSSL認証(SSLとは 【 Secure Sockets Layer 】 – 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典)が必要なサイトは見れません。例えばログインが必要なWEBサービスやYoutubeなどは不可です。
予めインストールしておけば「Integrated Tools」フォルダから辿って、圧縮解凍ソフトの「7zip」、ファイラーの「Q-Dir」、テキストエディタの「Notepad2」、PDFビューワーの「SmatraPDF」などが起動できます。
ちょっとした作業ならこれだけで済みそうですね。
Ultimate Boot CD:多機能レスキューツール
公式:Ultimate Boot CD – Overview(概要)
ダウンロード:Ultimate Boot CD – Download the UBCD
参考:「Ultimate Boot CD」の使い方 – パソコントラブルと自己解決
参考:パソコン故障を無料ツール「 Ultimate Boot CD 」で検査する
機能が多すぎて何が何やらですが、ハードディスクやメモリの診断、パーティションのチェック・編集・復元などが行えます。
EaseUS Todo Backup Free:データ復旧、データバックアップ、バーティション管理
公式サイト(ダウンロード):EaseUS Todo Backup Free 8.0
参考:Easeus Todo Backupの使い方 パソコン初心者講座
参考:無料でバックアップ・復元・クローンが作れる「EaseUS Todo Backup Free」とP2Vやユニバーサル復元もできるWorkstation版を使ってみた – GIGAZINE
細かいこと気にしないでOSを丸ごとバックアップできます。内蔵ハードディスクを換装する時にも重宝します。
もしアップデートに失敗したら、 丸ごと削除 → 丸ごと復旧 すれば良いので手順としては一番カンタンかもしれません。
EaseUS Todo Backup による復旧ディスクの作り方
「EaseUS Todo Backup」を起動したら画面右上の「ツール」から「ブータブルディスクの作成」を選択。「ブータブルディスクの種類」は「WinPE」を選択、「ブータブルディスクの保存先」はCD/DVDやUSBメモリ、またはISOイメージとして出力することもできます。
作成したブータブルディスクから起動すると、この項目のはじめの画面になります。
ファイルの救出やバックアップと復旧、MBR(マスターブートレコード – Wikipedia)の修復などができます。
ドライバーのバックアップ【2015年6月1日追記】
ドライバーについて失念していたので追記します。
プリンター他周辺機器をWindowsで使用するためにはドライバー(デバイスドライバ – Wikipedia)が必要です。接続時に自動でインストールされる場合がほとんどですが、中にはメーカーから提供されているものを手動でインストールしなければいけないものもあります。OSのアップデートや再インストール時にまたインストールするのも手間なのでまとめてバックアップしておいた方が後々楽です。最悪、Windows10にアップグレードしたら今まで使用していた機器が使えなくなっている場合も考えられます。
バックアップソフトはいくつかあるのですが、比較的新し目で解説サイトもあるのが「Double Driver」です。
公式:BooZet Freeware | Double Driver – backup and restore installed drivers
窓の杜:Double Driver – 窓の杜ライブラリ
日本語化済み:Double Driver 日本語化
参考:Double Driverの使い方(ダウンロード・バックアップ)–オールフリーソフト
参考:Double Driverの使い方(復元)–オールフリーソフト
使い方は参考サイトにある通りです。バックアップしたいドライバーを選択して、任意のフォルダにバックアップ。復元したい場合はバックアップフォルダを指定して復元すればOKです。
【2015年10月2日追記】
ドライバーに関しての記事を書きました。もし以前のドライバーがインストールできない場合は参考にして下さい。
あとがき
アップグレードへの備えはざっとこんなものでしょうか?
スマホ(Android)だと新しい端末に変えてもデータを勝手に同期していて、容易に同じ環境で使うことができます。それを考えるとPC(Windows)の引っ越し作業はとても煩わしいことに感じます。Microsoftのアカウントがあるんだから同じようにできるんじゃないかと思うんですけどねぇ・・・ もっとデータをシンプルにして「システムの復元」をクラウド版なんかでやってくれるとみんな助かると思うんですが。そういったサービスももろもろ含め、Windows10(あるいはそれ以降)には期待したいと思います。
無償アップグレードというとなんか嬉しいですけど、考えてみればLinuxやMacや、メーカーによってはAndroidも当然のように無償アップグレードです。逆に言えばやっとMicrosoftが追いついたと言うこともできます。やっとフリーミアム(フリーミアム – Wikipedia)を理解してくれたのでしょうか?
フリーミアムについてはこちらの書籍が詳しいです ▼
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 | ||||
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スマホ分野はもちろんPC分野でも、最近はChromebook(Chromebook のご紹介 – Google)も台頭してきたので本腰入れてきたってことでしょうかね。なんにせよユーザーとしては嬉しいことですが。
できれば今回の様な記事が必要無くなるくらい、不具合なく、使い勝手が良いOSになることを期待しています。