書評:白いネコは何をくれた?(著:佐藤義典)

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白いネコは何をくれた?(著:佐藤義典)

ぱっと見分かりにくいですがビジネス書です。表紙のデザインを見た時、一時期流行った「チーズはどこへ消えた?」を思い出しました。

マーケティング戦略について、著者独自の理論である「戦略BASiCS」について解説されています。ストーリー部分と解説部分に分かれていて、物語を読みながら使い方の例を学び、解説部でより深い理解ができる構成となっています。

以下に目次を引用します。

前書き
戦略BASiCS 序論

プロローグ:昨日と同じ明日
第1章:Battlefield 失意
第2章:Asset 決意
第3章:Strength 反転
第4章:Customer 仲間
第5章:Selling message 決戦
第6章:戦略BASiCS 使命

理論編
あとがき&ストーリー解説

一般的なマーケティング本と異なるのは、この「BASiCS戦略」を単にビジネスで使うだけでなく、「人生を変える手法」として前面に推しているトコロでしょうか。物語部分は中堅広告代理店の営業マンである主人公が抱える、仕事や恋愛、広く言えば人生そのものの悩みを「BASiCS戦略」を駆使して解決する話です。当初主人公が抱えている「無気力感」は、サラリーマンとして数年同じ仕事をしていれば誰しも抱える悩みではないでしょうか。こういった場面で自己啓発書などを読んでも “気を紛らわせる” だけで終わってしまいがちですが、本書は “積極的な解決に向けて” 具体的に何を考え、どう行動すべきかの “道標” を目指しているように思えます。

BASiCS戦略のそれぞれの意味は、目次にもあるように「Battlefield(戦略・競合)」「Asset(独自資源)」「Strength(強み・差別化)」「Customer(顧客)」「Selling message(メッセージ)」となり、i は「integration(統合)」の意味で、5要素の “一貫性” が大事だと説きます。

個別の要素についてはそれぞれ専門書があるでしょうが、著者が言う通りそれらに一貫性がなければ活かすことができません。そう考えると本書では、各要素について深堀りこそしていませんが、大局的に見たときの各要素の位置づけを知り、方針を立てる際に役に立つと思います。

物語パートも意外と(?)読み応えがあります。よくある「マンガで覚える○○」みたいなものは、あくまで解説のために作られた物語に過ぎず読み物としては見れませんが、本書では悩める主人公の成長物語として読むことができます。仕事、恋愛(…は少ないか)、若干のファンタジー(しゃべる猫との出会い)など。現実にしゃべる猫とは出会えませんが、同じような境遇の人もいるはずで、感情移入しやすいのではないでしょうか。

現役サラリーマンはもちろん、就活中の学生さんが自分自身の “棚卸し” をし、強みと弱み、アピールポイントを探る際に役に立つと思います。

[milliard]
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