書評:1万円起業 片手間で始めてじゅうぶんな収入を稼ぐ方法 (著:クリス・ギレボー | 翻訳:本田直之)

公開日:  最終更新日:2014/03/29

マイクロビジネスの本である。

胡散臭いネットビジネスの話でもなければ、理念・大志を持って後世に名を残す会社を作るといった大それた話でもない。ただ何か事業を始めるのに、ローリスクで小さく始めて生活できるくらい稼いでいる人はたくさんいるって話。

ただし本書の中で紹介されている事例は海外での話。米国の話がほとんどであるから、日本でも同じように始めて同じように成功できるかどうかは定かではない。
少ない資本で事業を始めるためにはネットの活用が必須であるから、日本におけるインターネット人口や、ネットの使い方、ITリテラシーなどは考慮しなければならないだろう。

本書は100〜1,000ドルの元手で始め、年間の収益が5万ドル以上の事業者を対象に調査を重ね、1,500件もの事例からその成功法則をまとめたとのこと。しかし紹介されている事例の詳細は書かれていないため、どこまで本当かは分からない。実際本書で1,500件の事例を全て挙げているわけでもない。1,500件が本当だとしても、その中からネタにしやすい数少ない事例だけ挙げている可能性もあるだろう。所詮推測の域を出ないことだが。

とまぁ、疑わしいことばかり書いているがこれは性格なので仕方がない。実際その本がどれほどの価値があるかなど読み手次第である。せっかく読んだのだから「如何にして現実に活かすか?」の方が大事だろう。

冒頭で「胡散臭いネットビジネスの話ではない」と書いたように、ここで紹介されている事例はどれも「誰かの役に立つサービス」を「ちょっとしたアイデア」から事業として実現させたものである。

副業でも独立でも何らかのアイデアがあって、それを収益化させなければ事業にはならない。しかし未経験ではそこまでイメージできないのが普通だろう。仮に何かアイデアが浮かんだとしても「事業として成り立つのか?」と疑問し、実行に移せぬまま消えてしまうのが大半だと思う。

そういった意味では「アイデアが生まれるきっかけ」から「事業開始までの流れ」、「どのように継続していくか?」「どのようなモチベーションで事業に取り組んでいるか?」の事例は、これから始める人にとって大きな助けになるのではないかと思う。確かに本書を読むと「どんなアイデアでもビジネスに繋がる」ような気にさせてくれる。多くのアイデアがアイデアのまま実行に移されないのは、その可能性を自ら否定していることに加え、「起業にはお金がかかるものだ」というこれまでの常識が邪魔をするのであろう。

「起業にはお金がかかるもの = ハイリスクである」というのは既に過去の常識であり、ネットが発達した現在では低予算(= ローリスク)でも始めることができる。むしろ失敗を恐れて「何もしない」ことこそリスクと言えるのではないか。あとはアイデアと計画性、失敗も含めた経験から学び改善していくだけである。失敗がなければ何も学ぶこと はできないのだ。

前述のように、各事例の詳細は書かれていないのでハウツー本として読むことはできないが、自己啓発本としては良書と言える。

過去の常識に捕らわれている人にとっては、マイクロビジネスという発想は新鮮であるだろうし、何かしたいけど何もできていない人にとっては、その背中を押す充分なモチベーションを与えてくれるだろう。

[milliard]
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