書評:無料でできる! 世界一やさしいGoogle Analytics アクセス解析入門 (著:丸山耕二)

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先に言ってしまうと本書は Google Analytics そのものを解説している本ではありません。

「アクセス解析に Google Analytics を使ってみたいけど難しそうだなぁ」と解説本に手を出してみたものの、その解説本も難しくて結局挫折してしまうことも多いのではないでしょうか? 解説本が解説本足り得るためには、それを深く追求する必要があるため、どうしても「辞書」のように堅苦しいものになりがちだからです。

そもそも Google Analytics が難しいと感じる理由として「普段聞き慣れない言葉が多い」「数字から何を読み取ればいいか分からない」「実際にどう活かしたらいいか分からない」などが挙げられると思います。

Google Analytics は所詮「計測器」にしか過ぎません。計測したデータから「デザインをこうした方がいいよ」とか「導線をこうした方がいいよ」とか何らかのアドバイスをしてくれるものではありません。実際それをどう活かすかは推測していくしかないのです。推測で得られた仮説から修正をし、どう変化したかを計測。改善されなければまた仮説からやり直し、また計測。その繰り返しでしかありません。

基本的な言葉の意味は当然知っておいた方が良いにしろ、自分に必要のないものまで覚える必要はありません。他の解説本でも自分に必要な部分だけ拾い読みをすればいいのです。ですが「分からない部分が多いと不安になる」のが人の性(さが)というものです。そこで本書の出番になります。

上述のようなことが本書でも述べられています。本書は小説・解説パートに分かれています。小説パートでは一人の税理士を例に、自身のホームページからお客さんを集めるために「Google Analytics を使ったアクセス解析から何を読み取り、どう活かしたら良いか?」をサイト改善のプロから指導を受け、改善していく流れを描いています。

・狙ったキーワードはそもそも正しいのか?
・得られた計測データの値は高いのか低いのか標準的なのか?
・PV(ページビュー)が増えても成約率が上がらないのは何故か?
・顧客満足度を上げるためにはどうしたら良いか?

…etc

解決したいことはこのようなことであって、Google Analytics そのものを研究することではないはずです。まず第一に問題が何処にあるのかから調べなければなりません。また現実にある問題の解決方法は技術的なサイトの改善だけに留まりません。

実際読むと、本書では Google Analytics について深く掘り下げているわけではなく「◯◯を知りたいときにはココを見る」「こういう条件で調べるためにはこうする」「完璧なアクセス解析にこだわらない」など、「便利なツールの一つ」として捉えていることが分かります。

話の中で、ある中華料理店を例に「なぜ流行っているのか?」を考える場面があるのですが、まさにホームページは「店」とも言えるもので、リアルでもネットでも顧客満足度が大事であることに変わりはありません。逆にリアル店舗の経営においてもホームページのアクセス解析、および問題の改善手法を活かすことができるでしょう。

Google Analytics に関しては本書を入門書とし、触れられていない部分に関しては改めて他の「解説本」を読むことで、より理解を深めることができるのではないでしょうか。

上述した「自分に必要な部分だけ拾い読みする」という選別作業を省くこともできますし、これまで「難しそう」というイメージだけ敬遠しているならば、Google Analytics が決して難しいものではなく、必要な部分だけ読むことで現実問題を解決する糸口として活かせる便利なツールであることが理解できるでしょう。

[milliard]
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