書評:決断力 (角川oneテーマ21) [Kindle版](著:羽生善治)
将棋を知らない僕ですら知っているプロ棋士。今回はたまたま本書を購入しましたが、実は(?)かなりの本を出版されているんですね。知りませんでした・・・
参考:Amazon.co.jp: 羽生 善治:作品一覧、著者略歴
そしてレビュー数がハンパない。本書に限っても現時点で176件!それだけ多くの人に支持されているということですね。
参考:Amazon.co.jp: カスタマーレビュー: 決断力 (角川oneテーマ21)
確かに著者自身が努力家で探究心が強いことが文章を通して伝わってくるので、それだけでも勉強になります。だからこそトップに君臨できるわけだし「その道のプロ」ともなればやはり専門外のことについても考察が鋭いのだと感じました。
今回は「決断力」がテーマとなっていますが、テーマそのものよりは将棋の世界について色々と知ることができたのが新鮮です。アマチュアからプロになるまでの過程であったり、昨今のIT技術の進歩により特に若手棋士たちの研究方法が変わってきていること、若手に負けないためにどういった努力をしなければいけないのかなど。将棋というと古くからあるお家芸的なイメージを持っていましたが、やはり常に進化しているのだなと感じます。
ビジネス書としてみた場合、本書は自己啓発書となります。前述したように著者の経験を通して得た物事の捉え方というものは、道は違えど「プロの見方」として参考になる部分は多いでしょう。しかしそれはプロ棋士としての経験則に基づくものなので、必ずしも科学的、論理的に正しいとは言い切れません。「世間から天才と呼ばれている一人の人間の頭の中身を垣間見る」という視点で見れば、自分には無い発想を得ることができるかもしれません。が、それはあくまでも参考としてです。ビジネスで何らかの問題を解決したいのであれば、やはりその「事例」を見る、調べる、経験する以外には無いと思います。
とは言え人間「感情」であったり「考え方」であったり、論理だけで動いているわけではありません。どんな道であれ向上心を養いたいのであればやはり「気持ち」が根本になります。プロの考えに触れるだけでも刺激になりますし、自分を鼓舞するのに大いに役立ってくれることと思います。