書評:伝え方が9割(著:佐々木圭一)

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伝え方が9割(著:佐々木圭一)

相手が「イエス」と言うか「ノー」と言うか。その原因の9割が「伝え方」にある・・・というのがタイトルの意味です。会話・コミュニケーション系は人気ジャンルですが、その中でも売れてると言えるでしょう。2013年7月15日時点で36万部突破しているようですね。
参考:36万部突破の大ヒット書籍『伝え方が9割』の著者 佐々木圭一氏がずばり回答!「伝え方“誌上悩み相談”」 | お知らせ | 週刊ダイヤモンド

著者の佐々木圭一氏は、コピーライター・作詞家・上智大学非常勤講師として活躍中。コチラが公式サイトになるのかな?
株式会社ウゴカス|コピーライター佐々木圭一

コピーライターや作詞をされているだけあって、本書は「言葉の選び方」を中心とした内容となっています。大事なことは伝え方にも”技術(テクニック)”があって、それは鍛えることができるということです。「改善したいなぁ」と思いつつ何から手を付けたらいいか分からないときのガイド(指南書)としてお勧めします。

私が膨大な時間とトライ&エラーで導き出した方法論を整理しました。この本は最短距離で、あなたのコトバ/伝え方を導くためのガイドだと思って下さい。

本書「はじめに」より引用

本書は全3章からなり、第1章では著者の経験談を元に「伝え方には”技術”があり、それは鍛えられる」ということ、第2章では「『イエス』に変えるためのステップとコツ」、第3章では「強い”コトバ”を作る技術」について解説されています。

第1章は本書の存在意義として、第2章はビジネスやプライベートでのコミュニケーション向上、第3章はコピーライターに必要な技術指南、例えばキャッチコピーや自分の文章(長文・メールなど)で如何に相手に興味を持ってもらえるようにするか、という構成となっています。

文章自体も分かりやすく1~2時間もあれば読み終わる量です。タイトルしかり、分かりやすい内容と量がベストセラーたる由縁でしょうか。

個人的に面白かったエピソードは、著者が会社支給の携帯が機種変されるときに規定では色が選べないはずが、あるメールを送ったことにより自分の希望の色にしてもらえたというくだり。著者自身も書いている通り、それだけが理由とはなりませんし真相は分かりませんが、結果として希望通りになったのは事実です(作り話ではないとして)。メールの内容としては、相手の存在を認めて(承認欲求を満たす)感謝のコトバを入れた上で希望を書いただけです。単に自分の希望”だけ”を書いたって会社の規定を理由に断られるだけでしょう。

コミュニケーションの話で言えば「テクニックより先に”信頼関係”だろ」という意見もあるでしょうが「鶏が先か、卵が先か」の話だと思います。”信頼関係”だって技術論があるでしょうし。「この方法さえあれば、相手を思い通り動かせる」とか「相手の気持ちが手に取るように分かる」などという魔法は存在しません。だからといって何もしなくても良いというわけではないでしょう。少しでも可能性があり、確率を上げることができるならやらない手はありません。しかも特別費用がかかるわけでもありませんし。「知っているか知らないか」「やるかやらないか」だけの違いだと思います。

マズローの自己実現理論にあるように、相手の”欲求”を満たすことが切り口になるのは間違いないわけで、ある意味それと引き換えに自分の”欲求”を満たすことに繋がるわけです。そう考えれば単に「相手に自分の意に沿う行動をさせる」(※ここに嫌悪感を抱く人もいるはず。)ということが必ずしも”悪意”によるものだけではないことが言えるでしょう。相手の気分も良くなり、自分の希望も通るならお互いにとってメリットがあるのだから良しと考えるべきです。

勉強熱心な方なら既知とは思いますが、これらのテクニックはコピーライティング技術にも繋がるので、広報担当者の方にもお勧めできます。第3章の「強いコトバを作る技術」は正にそうです。普段そのような仕事をしていない方でも本書を読んだあと、コマーシャルで見かけるキャッチコピーや注意書き(例えば「いつもトイレを綺麗に使っていただき…」など)にも同じテクニックが使われているので、よりコトバに敏感になるかと思います。

いずれにせよ”無意識”にコトバを使うより、より相手の意識に届くコトバを選んだ方が「コトが上手く運ぶ」のは間違いありませんね。「何も言わなくても分かってくれる」など単なる幻想(自分が努力しなくてもよいという)に過ぎませんし。

伝え方が9割

佐々木 圭一 ダイヤモンド社 2013-03-01
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